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第12章 Scene.11

　
　依然として壁際でぼやけているヤツに視線を向ける。

　途端にスゥッと消えていく。

　何も言ってない。

「大丈夫だよぉ。アイツはちゃんと指示受けたから」

「…それって………」

「うん。思考読み取ってる」

　怖っ。

　アイツの前で迂闊な事を想像出来ねぇ。

「って………」

　不意に思い浮かんだエリスの姿。

　頭の中でエリスにやりたい放題しちゃってるんだが。

　もしかしてそれを実行しに行ったとしたら。

「………すまん………」

　謝って済む問題じゃないのは分かってる。

　分かってるけど、謝らずにはいられなかった。

　まぁ、それでもあのエリス。

　結局のところ、最後には悦んで愉しむ姿が浮かぶ。

　そう考えると多少は気が楽になってくる。

「…それじゃ次…だけどさぁ………」

　まぁ、これだけじゃ済まないのは分かってた。

「はいよ」

　しかし、今は何も手が浮かばない。

　仕方ないから暫くは付き合うしかなさそうだった。


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