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明治鬼恋慕
第13章 迎撃

だが立ち上がろうとした焔来の両手を、リュウがおさえた。
「無理しないで」
焔来をその場に座らせて彼は声をひそめる。
「でも逃げるんだろ…!?」
「……いいや。迎え撃つ」
リュウが焔来の腰に手を伸ばす。
腰にさげられている黒色の刀──
もともとそれはリュウの物だ。それを彼は受け取った。
「さっきは僕が足を引っ張ったからね。今は…君を守れるさ」
「けど相手の武器は…!」
「大丈夫」
「……っ」
刀を少し鞘から抜き、その刀身の輝きを確かめてからもとに戻す。
大丈夫だと、いつもの言葉を残したリュウは…
その視線を小山の向こう側に移した。
「今度は…僕を、信じて」
《 俺を信じろ 》
そう言って狂骸湯を飲んだ焔来を
疑った僕を、許して。

