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明治鬼恋慕
第18章 後書き
「僕は一瞬たりとも、人間を信用したことがないから、ね。…だから怖くないさ」
そう言ったリュウだけれど、それは嘘だった。
信用しても受け入れられず…拒絶されるのが何故かもわからない。
人間への期待を忘れてしまい、欠片の情も持てない自分を " 化け物 " だと卑下するあまり、焔来にだけはそんな目で見られたくないと怯えている。
強く賢く冷静なリュウは、誰よりも臆病な少年でした。
そして…
悲しい過去にもめげず明るく生きている焔来も
実は夜叉である責任と、リュウを騙している罪悪感との間で押し潰されそうになっていた。
自分を隠して互いを詮索せず
そんな不器用な二人の愛は、浅はかであると同時に誰よりも純粋だったんです。
見守っている側からしたら、もっと明るくて救いのある…他の結末があったんじゃないかと、腑に落ちない心持ちになりますが
これが彼等の、等身大の結末です。
数奇な時代を生きた美しい少年たち。彼等に魅せられたのが作者だけでないとすれば、とても嬉しく思います。
弓月 舞
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