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明治鬼恋慕
第16章 吐露
ザク...
山に棲む動物だろうか
ザク...
こんな吹雪の季節に?
ザク
否──その可能性は低いだろう。
音は四方から無数に聞こえ、二人のいる山小屋を囲み始めたのだから。
そして
その輪が、小屋の様子を伺いながら少しずつ縮まっていくのが──内部からも気配でわかった。
「ハァっ…!……あ、ぁぁ‥っ、ぁぁ‥!!」
「…っ‥…、ふ──ァ…ッ」
「あ!‥ぁぁ…─リュ‥ゥ」
…しかし重なる影は離れない。
互いに肌の境目さえわからなくなるほど陶酔し、分かち難く結ばれていた。
「…ぅ…ァっ…!!…焔来──…ッ」
小屋の外に何がいようとも…
この瞬間は何もかもが、雑音なのだ。