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明治鬼恋慕
第4章 鬼狩り
「あっ…ありがとう焔来…」
「お気になさらず。…あっちが、舞台か…。俺の袖、持ってて下さいよ?」
首を伸ばす村人の間を通り抜け、焔来が千代を前列へと連れていく。
すると、即席で作られた芝居用の舞台が現れた。
「あれですね、演目までは見えねぇけど。千代様は見えますか?」
「わたしも演目までは…」
焔来の袖を強く握る千代の
目線の先は…舞台どころではない。
「──…始まりましたよ! ちょうどいい」
ドドン、ドン
そんな千代の心情などそっちのけ。
和太鼓の音が始まりを告げる。
役者の男が舞台へ上がり、見物人が沸いた。
ドドン、ドドン
むかぁ~し、むかぁ~し
北の~~果てさ
雪に~埋もるる、村ぁ~在りて