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明治鬼恋慕
第6章 山越え
「ここは僕に任せてよ」
「でも、お前……」
その時、背後に庇っていたリュウが腰の刀に手を添えて立ち上がった。
ためらう焔来の横をすり抜けて彼の前に出る。
呑気に笑っていた野党たちも、リュウの背丈の高さと刀の存在に気付いて動揺した。
「は? 女が刀を持ってんぞ」
「いや…ッ…こいつ、女にしては背が高くねぇか?」
「じゃあ男だってのか!? 冗談やめろよ」
仲間内で言い争いが始まる。
そんな彼等へ……
「……君たち、うるさいよ」
リュウは静かに、言い放った。
「僕は女なんかじゃない」
一面の赤い花を背負ったその佇まいは
彼の美貌を引き立てて、息を呑むような美しさだった──。