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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第13章 地下アイドルの秘密 編 1-1
胸の鼓動は、マイクを通して聞こえてしまいそうなくらい、ドンドン早く大きくなっていく。
上がっていく幕の下から客席が少しずつ見えてきた。
男の人達がズラリと並んでいる前列が見える。
凄い!お客さんがいっぱいだよ!・・・
緊張していても思わず笑顔になってしまう。が、それも一瞬だった。
幕が上がっていくにつれて、全席スタンディングのライブハウス内は、後ろには数人がチラホラと立っているだけで、お客さんがいるのは前列の2~3列だけなのが分かってしまう。
満員なら100人は入るのに、全部で20人ぐらいしかいなかった。
眼鏡を掛けている人が多い。なぜか髪型や服装、そして体系も似ていた。

「皆さん!・・・」
リーダーの夏妃の声で我に返った。
「こんにちは!」
練習通り、5人で息の合った挨拶が大きな声で出せた。
「今日は私達、ファータフィオーレの初めてのライブに来てくださって・・・」
「ありがとうございます!」
また5人で声を合わせ、深々とお辞儀をする。
客席からはまばらでも、一応拍手が起こってホッとする。

「それではいきなりですけど・・・メンバー紹介の前に、一曲聞いて下さい。私達のデビュー曲・・・」
夏妃の曲紹介に合わせてテンポの速い、ノリのいいイントロが流れだした。
全員で可愛いポーズをとる。
おお!とお客さんの間から声が上がり、拍手が起きる。

今までの練習は裏切らなかった。曲に合わせて身体が動く。リズムにも乗っている。振りも小さくなっていない。笑顔も出せている・・・私、イケる!!そう思えた。
5人共、目を合わせて笑顔を見せることが出来るほど余裕が出て来た。踊り、歌うのが楽しい!
その気持はお客さんにも伝わり、ただ立っているだけの人が多かったのに、次第に掛け声が
合って来て、少ない人数でも盛り上がってきた。
緊張も解れてきた私は、踊りながらお客さん一人一人と視線を合わせて笑顔を送る。照れる人、笑顔を返してくれる人、なぜが頷く人。人数が少ないから何度も全員と視線を合わせることが出来る。

なんか、いい!うまく言えないけど、ライブってやっぱりいい!・・・

緊張感、高揚感、連帯感、いろんなものを感じられてモチベーションは上がっていく。
それは他のメンバーも同じだったみたい。それはみんなの顔を見ればすぐに分かった。
でも・・・
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