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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第13章 地下アイドルの秘密 編 1-1
「お疲れ様でした。マネージャー、全員集合しました」
ファーストステージが終わった後、すぐに反省会を開くために私達は小さな事務所の片隅に集まった。
マネージャーはリーダーの私に、今日のライブの売上等が記入された用紙を見せてくれる。
他のメンバーも興味津々で覗き込んでくる。
「うわっ少ないね・・・」
本当の事だけど、それをポツリと言った心瑠をみんなが見つめた。
ごめんなさい、と謝り小さくなってしまう。
「夏妃、どう思う?」
低い声で名前を呼ばれると、私はいつもゾクッとしてしまう。
アイドルになりたいと思っていても、好きなタイプは年上の渋い人だった。
マネージャーの彫の深い目鼻立ちや口髭、魅力的な低い声と落ち着いた物腰は、十分に私の恋愛対象にできる存在だった。
「はい、えっと・・・とにかく人数を多く集めないとどうしようもないので、ビラ配りの回数を増やします。それから・・・」
愛美、涼奈、心瑠、舞風と私は、見つめ合い頷き合った。
「歌とダンスを頑張って練習するだけでなく、別のパフォーマンスでも他の人を誘ってまた来てもらえるように、考えてきました」
ライブが終わってから、急いで5人で考えた案をいくつも提案した。
今日経験してみて、どういったことに力を入れればいいのか。少しでも分かった事をとにかくやってみよう、と話し合ったのだった。
私達が提案した内、いくつかを試してみることを許可したくれた。
「いいだろう。自分たちで決めたことなら最後までやり通せよ。目標の100人のお客さんが集まらなかったら、そこで解散だからな」
それは最初からマネージャーに言われていた事だった。
5回のライブで1回でもいいから100人集めること。それがファータフィオーレが次のステージに進むための条件だった。
他に何組もの地下アイドルの面倒を見ているマネージャーは、そうしてグループをふるいに掛け、そのかわり達成できれば、どんなコネを使ってでも次のステージに進むためのサポートをすると言ってくれていた。
もちろん売れる為には、それなりの事を覚悟しておくように、とも言われていたけれど。
1回目のライブは25人集まってくれていた。後4回の内に絶対に100人集めなければいけない。そのために5人で誓い合った。
もっとライブを見て楽しんでもらえるように、次もライブを見たいと思われる様にがんばろうと。