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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第16章 ストーカー(僕の彼女)編 1-1
僕は彼女との待ち合わせに使っている喫茶店の窓際の席に座り、ぼんや
りと考えている。
2人が出会ってから1週間が過ぎていた。まだまだお互いに知らないこ
とが多くて歯がゆいけれど、分かったこともいくつかあった。
彼女の名前は、ルナ。容姿にピッタリの可愛らしい名前だ。
本人は恥ずかしがってなかなか教えてくれなかったけれど、一緒にいた
お友達が気を利かせて教えてくれた。早く苗字と名前を漢字で教えて欲
しいな。
学年は2年。これはセーラー服のリボンの色を見てすぐに分かった。
聖杏学園は学年ごとに女子はリボンの色が、男子はネクタイの色が違う。
ルナは青だから2年生。良く似合っているけど、来年の赤のリボンを付
けた姿も可愛いに違いない。

座っている場所から良く見える歩道を、聖杏学園の生徒たちが頻繁に通
って行く時間になった。ルナは文化部に入っているらしいけど、そんな
に熱心に活動はしていないようだった。午後の授業が終わったばかりの
この時間に通る時もあれば、夕方暗くなる時もあってまちまちだったか
ら。
待っている側としてはこの時間は辛いけど、彼女の笑顔が全てを忘れさ
せてくれる。ごめんね、と言われればつい許してしまう。
それに今日は、ルナが自宅まで僕を案内してくれることになっていた。
もちろん部屋に入れてくれるのは、まだまだ先になりそうだけれど2人
にとって大きな進展だ。恥ずかしがり屋のルナにしては思い切った決断
だと思う。
僕の方も男らしくいろいろ行動に移していかないと。

あ・・・ルナ!

こちらに向かって歩いてくるルナを見つけた。慌てることなく喫茶店を
出て後ろから、お帰りと声をかける。お友達の前だから照れているのか
恥ずかしがっている様子はいつもと変わらない。でもなぜか普段よりテ
ンションが昂まっているのが分かる。それは週末だから、だけではない
よね。僕を自宅まで案内してくれることがそんなに嬉しいなんて、僕だ
って嬉しいよ、ルナ。

「だからルナ。絶対にあの人、ルナに気があるって!ね?」
「うん、そう思う!」
ルナの左右にいるお友達が、肩を彼女に押し付けるようにして歩きなが
ら話している。

ストーカー用語
待ち合わせ:相手を待ち伏せすること
自宅まで案内してくれる:勝手に後を付けて自宅を特定すること
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