この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
貸し出し遊戯
第29章 永遠の愛 クリムト
そんなことを蘭は考えながら、その中で何度も彼女の頭に浮かぶ『水蛇Ⅰ』の画。
女性同士の官能美を艶めかしく描いたクリムトの代表作のひとつである。
それは、悠介の中の父性と同時に、母性を感じたことと、
ひとつに交わる感覚に足をなくすようなそんなイメージを覚えたからであろう。
また、悠介の持つセクシャルな魅力と精力的な印象が、蛇を連想させたからだ。
蘭はそんな内なる声に耳を傾け、そこに横たわる「タナトス」から遠ざかるように、なんとも言えない切なさの中、悠介の腕に「エロス」とともに抱かれていた。