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貸し出し遊戯
第1章 いきさつ サイド蘭
聡史は蘭のはにかむ笑顔の混じりけのない幸福感に一目惚れした。
黒いロングのチャイナドレスが、スレンダーな躯によく似合っており、
ホステス独特のアクの強さやえぐみがなく、張った感じがない自然な品のよいチャーミングな色香が育ちの良さを思わせ、聡史好みであった。
その後、店を調べ、彼女の動向を探り、3年ががりでモノにしたのだった。
蘭は店とは別に、コールガールをしており、素性の知れた波長の合う男性から連絡があれば予定を合わせ、ベッドを共にした。
総史とも、店の客として指名を受けてから、贔屓にしてもらううちに親しくなり、最初はそうやって関係していた。
チップを稼ぐというより、蘭は男と一緒に過ごすことが好きだった。
両親が海外赴任であまり触れ合うことのなかった蘭には、男と過ごす時間は自分の心の安定になくてはならないものだった。
甘えられる時間であり、愛されているという安心感が彼女を癒した。
また、容姿のいい彼女は褒められることも多く、特にベッドではその努力に見合った可愛がられ方をするのがうれしかったのだ。
親と共に過ごすことがなかった蘭は、躯も弱く、自然と人の弱い部分に共感し癒すことが出来た。
スレンダーで男の腕にすっぽり収まる華奢な躯も、庇護欲が強い男には都合よく、守ってやりたくさせた。
男好きされる得な顔立ちをしており、柔らかい雰囲気で話しやすく、男の悩みや愚痴を聞くのも彼女はうまかった。
それは元来の彼女の持って生まれたものに加え、親のように男に庇護されたくて養われ磨かれたものでもあろう。
一人で行動することが多いこともあり、声をかけてくる男も多く、擦れていない素朴さが男も心を開きやすかったのだろう。
そんな訳で、好意を持って話し掛け、自分を愛してくれる聡史は、蘭にとって特別な場所となっていった。
甲斐甲斐しくなった蘭の様子を見てとった聡史は、蘭を花屋の店先で見つけた時からのことを話し、
蘭はその情熱とうまく転がして靡かせてくれた冷静な態度に感動し、彼と一緒になったのである。
最後の決め手は、聡史のこんな台詞であった。
『あのチャイナで壁に手をつかせて犯したかった。』
これを聞いて、彼女は最高の賛辞であると、これほどの女冥利に尽きることはないと、うれしくて彼に決めたのであった。