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魔法の右手
第6章 優しくしないで
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「で?話って?」




都内が一望できるバーの窓際に座り、俺は数日前、依莉に対しての違和感がやっぱ何かを抱えていたんだと自分の勘に驚きつつも、なにも話さない依莉に俺はタバコを咥え、何度か聞いた。


「〜///…だから忘れたって言ってるじゃない。たいした話じゃなかったんだって。」

「……へぇ。なのにクソ忙しい俺を誘ったんだ?」

「…そっ、そうよ。悪い?」

「忙しいって言ってるけど、私と飲んでるじゃない!」

「……。」

…ったくコイツ…。仕事を持ち越してまで来てやったのに…

「なかなかいないのよ。この歳になると一緒に飲んでくれる人が…」

「……。」

俺はウイスキーの中の氷をカラカラと指で回して、片肘を付いて依莉を見た。

依莉は始めはビールを飲んでいたが、いつしかワインを結構なペースで飲み続けている。

「周りは結婚してるし、簡単に外には出れないのよ。」

「……。依莉は?…結婚してぇの?」

「……。」

「結婚して、専業主婦になりたいわけ?」

「……分からない……。」




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