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タワーマンションの恋人
第16章 * 甘美




「久しぶり〜!」

柔らかい声を聞いて思わず、自然と笑みが溢れる。


「ケイタ、待ってたよー。」

自然とお互い手を広げハグで迎え入れてしまうのも彼との特有の流れ。
しばらく、彼の腕の中で感覚を思い出すように身を委ねていると頬にひやりと何かが当たった。


「へっ?」

「みてー?レディーボーデン1000ml。あとね、Hersheyのチョコソース。一緒にアイス食べよー?華、甘いの好きでしょ?」

そう言って可愛く笑うから「ケイタ、大好き。」と更にきつく抱きしめれば、まるで子犬をあやすような手つきでわたしを撫でる。



ケイタは、わたしを甘やかすのがとても上手い。
溶かすほどに甘やかしてくれるから、わたしもその優しさに甘えてしまうのだと思う。


「溶ける前に!ほら、食べよ?」

そう言ってわたしの手をひいてリビングに向かい、ソファーの前にあるローテーブルにアイスを置いた。


「華、お皿とスプーンお願いしていい?」

そう言うケイタを見て気がついた。

「ね、ケイタ髪型変えたんだっ!すごく良く似合ってる。」

「本当に?華はどっちが好きかなぁ、って聞こうと思ってたんだ。」

丸みのあるサラサラの髪型は少しだけ緩やかなパーマが掛かっていた。

「すごくかっこいい。ケイタの雰囲気に良く似合ってるよ。」そう伝えると嬉しそうに毛先を摘んで、彼が笑った。






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