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タワーマンションの恋人
第19章 * star prince
「ごめんなさい、お忙しい中お呼びたてしてしまって。」
「いいえ、いいの。いつでも呼んで?」
そう言って綺麗に笑った奥原さんにわたしはひとつのことを伝えるため、ダイニングの対面の席に座った。
「奥原さん、あの…ハルキを、ハルキの予約を、しばらく入れないでもらえますか?我儘言ってごめんなさいっ…」
そう呟くと「どうしたの?理由は?」と優しく尋ねてくれる。
「…この仕事を…続けたいから、」
そう笑ったはずのに、目頭がじわりじわりと熱くなる。
「苦しくなっちゃった?」
そう柔らかく聞かれて、そっと頷いた。
「この、仕事…続けたいはずなのに、楽しんでたはずのに。ハルキに会うと…別の自分が、苦しいって、辛い、って泣くんです。」
そう言うと頬を涙が伝った。
「ハルキの前で、またちゃんと…ちゃんとハナに戻れるまで。少し、時間を下さい。」
そう頭を下げると柔らかな手がわたしの髪をなでた。
「華のそういうところが、みんなを掴んで離さないのね。」
近くのティッシュでわたしの涙を拭うと「ハルキのことはなんとかするわ。」と笑ってくれた。