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タワーマンションの恋人
第22章 * romantic rival
ことの発端は、偶々だったんだ。
なんの悪気もなくて、きっと、誰も悪くない。
その日は、久しぶりにフミヤと同じ雑誌の撮影で、最近会っていなかったこともあって楽しみにしていた。
この業界で、同じ事務所、と来たらあまり仲良しこよしの関係というのは少ないような気がする。
ただ、フミヤとは年齢が1つしか違わないこともあって、昔からなんだかんだ仲良くやっていた。
「おー!ケイタ!久しぶりっ!」
ヘアメイクに入ろうとしていると、そこにフミヤがやって来た。
「フミヤー!本当に久しぶり!」
思わず笑みが溢れるのは、お互いに仕事が波に乗ってきた余裕からかもしれない。
「そう言えばケイタ、また映画きまったんだって?本当すげーな?」
「なにいってんの、フミヤも今期またドラマ決まったんでしょ?すげーよ、2クール目?」
お互いの噂はお互い耳に入るらしく、そんな話を自然に交わしながらヘアメイクを施してもらった。
「昔は一緒によくオーディション行ったりしたよな」
「すげー懐かしい!フミヤが迷って良く遅刻しそうになったよな?」
「本当、方向音痴で迷惑掛けたよな!その節はご迷惑おかけしましたー。」
「たまにはさ、また一緒に飯食ったりしに行こうぜ?お互い忙しいのは嬉しいことだけどさ?」
「だな?俺ら、最後に飯行ったのいつよ!」
久しぶりとはいえ、仲の良いやつに会えてテンションが上がっていた。