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Dreams come true
第1章 私と大樹
今朝もいつもと変わらない。
私がお隣さんのピンポンを鳴らし、1分ほどでドアが開く。
いってきますと家の中にむかって叫びながら大樹が出てくる。
二人並んでバス停への道を歩いてく・・
でも・・
朝の一連の行動は、時間は、変わらずいつもと同じなのに、
一つだけ、変わっているものがある。
それは・・彼との距離。
距離、まさしく「寸法」の距離。
彼と私の腕の間にはファッション雑誌3冊分の厚みくらいの隙間しかなかったのに、
なぜか今日は幼稚園の子供が間一人にいるんじゃないかと
思わせるくらいの隙間がある。
もはや隙間とは呼べないか。
「どしたの?」
キスをねだるような格好に見えなくもない体勢で、
大樹の胸の前から顔を見上げた。
「どうもしねーよ。それより・・近い!」
目を合わせた途端に大樹は一歩後ろに下がった。
まさか、私・・嫌われた?
静かに忍び寄ってきた絶望感が私の体をすっぽり覆い尽くしたような気がした。
なによ・・
霞の様な声で呟いてから、私は大樹より先に歩き出した。