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Dreams come true
第1章 私と大樹
その日のホームルームで、おもしろい話を聞いた。
卒業式まで、一人一人がテーマを決めてみんなの前で話をするという、
高校生最後の主張、みたいなことをやっているのだが、
今日の当番の雅斗の話は興味を引いた。
彼の選んだテーマは、「夢は叶う」という、正統派なんだけど
ちょっと面白い話だった。
「え~・・まあ、これはみんなネットから拾ってきたものですが、
悪い夢はおおかた起こることはないそうで、また良すぎる夢も
ほとんど現実にはならないらしいのですが、
身近に起こりうるような事を夢に見ると、案外現実になったりするそうです。
たとえば、好きだなって思っている隣りの異性とデートした夢を見たとしましょう。
そういう、現実起こりそうな夢は叶うことが多いらしいのです・・」
・・へぇ、そうなんだ・・
雅斗の顔をじっと見ながら、私は大樹の顏を思い浮かべた。
大樹との夢・・あ、でも・・
よくよく思い出してみても・・無い、大樹が夢に出てきたこと・・
例え通りのデートをした夢、とか、そういうの全然ない。
夢の中で大樹の顏を見たことって、記憶にない。
ないのだからきっと、ない。
・・ちぇ、私も夢、みたいなぁ・・
眠気などまったくない中で、私は今すぐ眠りについて、
夢を見たいと思った。