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Dreams come true
第1章 私と大樹
「おい、なにさっきから黙ってんだよ」
吊革につかまりバスの揺れに身をまかせながら、
大樹は私を頭上斜め上から見下ろしてきた。
揺れるたびに腕がぶつかっても、さっきみたいに近い、とか言ったりしない。
普段とおんなじ。
いつもと変わらない。
だったらなんで、さっきはあんなに体を引いたの?
黙って拗ねていてもなんも始まらない。
私はギロッと睨むようにしながら小声で抗議した。
「だって、さっき近寄られたくなさそうだったからさ、話しかけちゃいけないかと思って」
プイッと顔をそむける私の頭を小突きながら
「なに子供みたいな事言ってんだよ、そういうことじゃなくってさ・・
まあいろいろあんだよ」
大樹も小さな声で言い返す。
「ハァ?並んで歩くのにいろいろあんの?なにがあんのよ、いったい?訳わかんないわぁ」
言い合いに拍車がかかりそうだったが、本当の意味でも訳が分からなくなったので、
バスを降りるまでしゃべるのを止めた。
それっきり大樹も、口をつぐんだ。