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うさぎ×狼×純愛lesson Sweet Serenade
第1章 プロローグ
「ごめん、教室に忘れ物しちゃったから、先に帰って?」
事の発端は、私が教室に忘れ物をしてそれを取りに行った事により始まった。友人に別れを告げて、私は急いで教室に戻る。何故、今日に限ってスマホを忘れてしまうかなんてヘマをしたのか。小さくため息を吐きながら私は教室のドアを開けた。
「···えっ、···と?」
私に向って吹き抜けて行く風。
ふわりと靡くカーテン、オレンジ色に染めらた教室と…。初めて見たキスと、まるで、それは一つの絵の様に、私の瞳に吸い寄せられる様に見入ってしまっていた。
まさかそこで、2人の男女が唇を合わせていたなんて、誰が、想像出来ただろうか。
「···何?」
何分、何秒?どれだけの時間、私は2人を見つめていたのだろう。気が付いた時には、彼の視線が私へと向けられていた。そこで私は、『はっ』と我に返った。
「ご!···ごめんなさい!」
急に恥ずかしさが込み上げて、ピシャリと教室のドアを閉めた。そこから逃げるように、私は一心不乱に走る。
「はっはっ、はぁ…はっ」
忘れ物事なんて、この時既に、忘れてしまっていた。
* * * *
小笠原 紗雪。
俺は彼女が忘れて取りに来たのであろうスマホを片手にとる。俺達のキスを見て、顔を真っ赤にして慌てる姿が脳裏に焼き付いた。
「ねぇ、どうしたの?」
「いや、何でもない」
女からの問いかけに、興味なさげに言葉を吐き、俺は彼女のスマホをスラックスのポケットにしまった。その瞬間、女の腕が俺の首に回される。誘われる様にして、俺は女を押し倒した。