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第13章 チチデール　前編

ラッカが進んでいった道をニーナも進むと、しばらくしてラッカの姿が見えました。

見えたのはラッカの姿だけではありません。

他にも数名･･･
しかし、立っているのはラッカだけで、他の人はみんな倒れています。

そして、地面に広がる血･･･

「間に合わなかったぜ」
ラッカは悔しそうに言いました。

倒れているのは、商人風の身なりの男女２人･･･
そして、盗賊風の男が３名･･･

何が起こったのかは、ニーナにも容易に想像ができました。

商人夫婦が、旅の途中で盗賊に襲われたのでしょう。

それをラッカが助けようとした･･･
でも、間に合わずに、すでに夫婦は殺されており･･･
品物を漁っていた盗賊たちと、ラッカとの争いになった･･･

商人夫婦が乗っていた馬車が残されています。

「俺が駆けつけなかったら、この子も殺されていたかもな」
ラッカが言いました。

「この子って？」
ニーナはラッカに尋ねます。

「馬車の中の赤ん坊だ」