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想うより、想われる方が良い?
第9章 罠。
☆
少し急いた下駄の音を聞きながら、
池に目をやると、
水面に映る見慣れた晩秋の景色にため息が出る。
美紗がこの庭を見たら、
"あの石は何?あの木は?"とか目を輝かせながら訊いて、スケッチを始めるだろうな。。
夕方までクラスがないんだっけ、
・・今、何してるんだろう?
「輝昭様。」
雑木林の入り口に差し掛かった時、
池のほとりにある東屋から呼び止められた。
中川みやび。。
去年の夏あたりからだ、
どういう経緯かは知らないが、
母さんが絡む催しには必ず彼女が手伝いに来ていて、
毎度『みやびさんと、ご一緒して♪』と命じられる。。
箱入りな女の相手をするのは面倒なんだが、
強引に駆り出されているであろう彼女へ同情もあり、
俺は社交性を存分に発揮した『ご一緒』を心がけ、
そこそこ話すようにしてきた。
……が、
【中川みやびはアカン】
今朝、
バスルームから出ようとする俺に、
タクマはおかしなメモを突きつけた。
方言を文字化されると、
ふざけているようにしか見えないが、
タクマの表情は真剣で、
秋吉の気配が近づくと、
"黙っとけよ"と目で合図をし、メモをポケットへ押し込んだ。
少し急いた下駄の音を聞きながら、
池に目をやると、
水面に映る見慣れた晩秋の景色にため息が出る。
美紗がこの庭を見たら、
"あの石は何?あの木は?"とか目を輝かせながら訊いて、スケッチを始めるだろうな。。
夕方までクラスがないんだっけ、
・・今、何してるんだろう?
「輝昭様。」
雑木林の入り口に差し掛かった時、
池のほとりにある東屋から呼び止められた。
中川みやび。。
去年の夏あたりからだ、
どういう経緯かは知らないが、
母さんが絡む催しには必ず彼女が手伝いに来ていて、
毎度『みやびさんと、ご一緒して♪』と命じられる。。
箱入りな女の相手をするのは面倒なんだが、
強引に駆り出されているであろう彼女へ同情もあり、
俺は社交性を存分に発揮した『ご一緒』を心がけ、
そこそこ話すようにしてきた。
……が、
【中川みやびはアカン】
今朝、
バスルームから出ようとする俺に、
タクマはおかしなメモを突きつけた。
方言を文字化されると、
ふざけているようにしか見えないが、
タクマの表情は真剣で、
秋吉の気配が近づくと、
"黙っとけよ"と目で合図をし、メモをポケットへ押し込んだ。