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想うより、想われる方が良い?
第10章 美紗の部屋。
普通に鍵を使って、
普通に玄関を開ける女の手が
クローズアップで映ってる。

誰もおらん部屋を迷わず進み、
同じ女の手が本棚から・・

「スケッチブック!」

綾先生が小さく叫んだ。

「大事な物なんですか?」

「・・うん、物凄く・・」

動揺し途切れる返事。

スケッチブックは次々と
段ボール箱へ放り込まれ、

女の手に一冊を残して
箱は男の手で部屋から運び出された。

「ぇ、どこへ・・」

カメラは閉まったドアと
女の手に残されたスケッチブックを
じっと映したまま。

俺らが見てるんは
全く動きのない映像やのに、、

「綾、この先は見ない方が良い」

「大丈夫、何を見ても・・
いや、お嬢がどこまでか
見て判る方が
冷静になれると思う」

全員が巨大化していく負の感情を
痛いほど感じ取った。

画面の真ん中、
緩慢な動きで前へ伸びていく女の手、

やがて、

ゆっくりと掌を広げ
スケッチを床へ落下させた。

・・始まる・・今から・・
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