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想うより、想われる方が良い?
第3章 幕間。
槇野は元々この教室のマネージャーだった。

半年前にエリアマネージャーに昇格し、
春野{現マネージャー}の教育を終えると、エリア内のてこ入れが必要な教室を転々としている。

ここへ顔を出すのは3ヵ月ぶり。


ブース内で契約交渉をしている春野を一瞥すると、小さめの声で文句を垂れる。

「もぉぉ。虐めませんよぉ。
 大体、虐められているのは僕の方ですよ。
 行く先々で煙たがられて・・
 手伝いに行っているだけなのに。。はぁぁ」

「偉くなったんだから、仕方ないでしょ」

「名ばかりです、ちっとも嬉しくない」

口を尖らせ受付カウンターの椅子に座り、
鞄からチラシをとりだし三つ折りにし始めた。

すると、綾も座り、

折り上がった物に無料体験や各種特典のチケットをホッチキスでとめる。

新規契約の動きが鈍い月は、この流れ作業が恒例となっていた。

槇野は、ため息をつきながら他の教室では孤独にチラシ作りをしているだの、朝の通勤に合わせて自分一人で孤独に配っているだの、ひとしきり孤独な状況について文句を言い終えると、不意に話を変えた。


「美紗先生、何かあったんですか?」

「え?何かって?」

「ここへ来る前に偶然会ったんですが、
 随分雰囲気が柔らかくなったなぁって」

それはたぶん、みんなに内緒で生徒さんと付き合っていて、教室でヤっちゃうほど溺れてるから・・なのだと"孤独な状況"を愚痴る槇野に言えるわけが無い。

「んー。お年頃なんじゃないの?」

と、綾は内職の手を止めずに適当に答えた。


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