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雪原に咲く椿
第1章 邂逅ーツナガリー
一歩外に出れば、世界はガラリと変わる。
一面白銀の世界。
“世界の終焉”と誰が噂したか知らないが、そう世間では囁かれている。
“終わりの地”だと。
「……寒いな」
月並な一言を呟く。いくらどんなに優れた外套でも寒いものは寒いーー白い吐息を手に吹きかけ、背中を震わせながら歩く。生憎高性能な防寒具に買いかえる余裕なんてない。
ーーでもこの寒さが、不思議とどこか落ち着く自分もいて。
名前のせいだろうか。冬の花名からつけたと母さんからよく聞かされていた、子守唄のように。
ーー白い花。