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雪原に咲く椿
第1章 邂逅ーツナガリー

雪の異名は色々あって、花にもたとえられるらしい。六花、銀花、雪花ーー図書館で借りた本にそう書いてあった。夢中になって伝承などを読んだ記憶がある。指で何度もたどった、あの美しい自分だけの世界。



今まで読書しかしてこなかった。必死で貯めたお小遣いは全部本に消え、毎日通った場所も図書館。ーーそれは今でも変わらないのだが。



雪道は慣れたものの、歩きづらく人の姿はない。


この時期は閉じこもっているのが日常で、図書館に行くためだけにわざわざ外出する自分は変わり者扱いである。……母さんは何も言わなかった。変わり者扱いされてると知ってても、いつも花が咲いたような笑顔で。



“おかえりスー”



あの笑顔を思い出すと胸が熱くなる。



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