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不知夜月(いざよいづき)の夜に――
第5章 不知夜月(いざよいづき)
月日が流れ―――――

出すことの無いメールを打って
歩美に別れを告げた


そして僕は
真新しいスニーカーをはいて
幸と待ち合わせをしている場所へ向かう


日曜日の午後の街
Christmas間近の通りは
華やかに飾付けられ


コートを羽織る恋人達は
幸せそうに腕を組み
身体を寄せあって歩く


枯れ葉を踏み締めながら
僕もジャケットの襟を立て
ポケットに手を入れ


幸の表情を想像しながら
小さな包みをしっかり握りしめた


もうすぐ見えてくる
あのコーヒーショップ


いつもの席に彼女は座って
カフェオーレを飲んでるはず



他愛のない会話の後
窓越しに月が見えたら
幸に伝えるよ



小さいけれど
月明かりよりも煌めく
この指環を手渡しながら




『幸 結婚してください

一生 君に笑顔を送り続けます』



と――――――












☆―おわり―○





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