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あなたが教えてくれたこと
第7章 7
眼下には街の夜景が広がっている。
いつも歩いている場所をこうして上から眺めると新鮮な驚きがあった。
視線を正面に戻すと正嗣の顔がある。今日は珍しく家族で外食をしていた。
目の前にいるのが夫ではなく、愛する遼平ならばどれだけ嬉しいだろう。
きっとこの夜景ももっとロマンチックに感じたし、目の前の料理も宝石のように輝いて見えたであろう。
しかしもちろんそんなことは綺麗に隠し、視線の合った正嗣に静かな作り笑いを見せた。
プチトマトの中身をくり抜き、その中に魚介のリゾットを詰め、オリーブ油をかけてからオーブンで焼いた前菜は、浮かない気持ちで食べてもそれなりに美味しい。
「新しい家庭教師はどうだ?」
不意に訊かれ、口の中のものが喉につかえそうになる。
しかし夫の視線は紫遠ではなく、息子の智哉に向いていた。
「凄くいい人だよ。教えるのが上手くて今まで分からなかったことが理解できるようになったし」
いつも歩いている場所をこうして上から眺めると新鮮な驚きがあった。
視線を正面に戻すと正嗣の顔がある。今日は珍しく家族で外食をしていた。
目の前にいるのが夫ではなく、愛する遼平ならばどれだけ嬉しいだろう。
きっとこの夜景ももっとロマンチックに感じたし、目の前の料理も宝石のように輝いて見えたであろう。
しかしもちろんそんなことは綺麗に隠し、視線の合った正嗣に静かな作り笑いを見せた。
プチトマトの中身をくり抜き、その中に魚介のリゾットを詰め、オリーブ油をかけてからオーブンで焼いた前菜は、浮かない気持ちで食べてもそれなりに美味しい。
「新しい家庭教師はどうだ?」
不意に訊かれ、口の中のものが喉につかえそうになる。
しかし夫の視線は紫遠ではなく、息子の智哉に向いていた。
「凄くいい人だよ。教えるのが上手くて今まで分からなかったことが理解できるようになったし」