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あなたが教えてくれたこと
第7章 7
「好きだから愛し合う。それだけじゃ駄目なわけ? 俺はそれだけの理由しかない」
「あなたはそれでいいかもしれない。けど私は違う。家族がいるの。そしてそれを壊したくない」
「俺はあなたの家族を壊そうとしてる?」

熱くなる紫遠に対して、十四歳も歳下の彼は冷静だった。どちらが大人の対応をしてるのか分からなくなる。

「してるわ。あなたにその気はなくてもね。あなたを好きになるたび……愛しく想うほど……あなた以外何もいらなくなってしまうの」
「紫遠……」

愛の誓いに似た、別れの言葉だった。

「好きになっちゃいけないの。だって私には家族があるから」
「愛のない夫婦がそんなに大切?」
「……智哉がいるわ」

全て言わなきゃ分からない振りをする遼平が憎かった。
流石にそこまで言い放つと彼も言葉を詰まらせる。

「……あなたのことは、好き。好きなの、遼平さん。でもね、私は母親なの……あの子が何よりも大切なの」
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