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あなたが教えてくれたこと
第7章 7
退ききらない快楽に気怠く身を任せていると、遼平が立ち上がって鋏を手に戻ってきた。

『その刃物で喉元を掻き切ってくれたら、幸せのまま死ねるのに』

壊れた憧憬に胸を焦がし、小さく首を上げて彼に差し出す。
しかしもちろんそんな願いが伝わるはずもなく、彼は慎重に紫遠を覆う透明な樹脂を切断していく。

「なんだか肌を切られてるみたい」
「怖いこと言うね。痛くない?」
「ううん」

首を振りながら愛しい主を見詰める。
ラップが剥がされた瞬間に身体中がひんやりとした爽快感に包まれた。膜のように覆っていた汗が冷えたせいだ。

彼はバスタオルでその汗も拭ってくれた。先ほどまで鬼畜に責めていた男と同一人物とは思えないほど、優しかった。

「ありがとうございます、ご主人様」

敢えてされるがままでいることで人形になった気持ちになる。
遼平に愛される為だけに生まれた人形だ。
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