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あなたが教えてくれたこと
第8章 8
「何をするんですか、ご主人様……」

訊きながらも紫遠は察していた。
部屋の中で粗相をしてしまったら大変なことになるが、風呂場ならば洗い流すのもましだ。紫遠の苦悶を悟ってくれた優しさに感謝した。

遼平は何も言わずに湯を溜めていく。

「こっちの穴でまで俺を求めてくるとは、本当に呆れる奴だな」
「はい。ご主人様にすべてを捧げたいんです……」

鬼畜に責めながらも憫察を忘れない彼の優しさに心が温もりを覚える。
しかしそれはあまりにも楽観的な彼女の思いに過ぎなかった。

「ほら、紫遠。洗ってやろう」
「えっ……?」

そう言うなり遼平は紫遠の髪を掴み、力任せに顔を湯を張ったバスタブに沈めた。

「ンンーッ!?」

いきなりのことに驚いてしまい、誤って思い切り湯を飲んでしまう。
腕を振り、足をばたつかせ、必死に顔を上げようとするが、力では敵わなかった。

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