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あなたが教えてくれたこと
第3章 3
そんな変化に気付いた冨士雄が、彼女の脚を握ってきた時。

「ただいまっ」という智哉の声がこだました。

我に返った紫遠は慌てて立ち上がり、「失礼しますっ」と頭を下げて義父の部屋から飛び出した。

『何やってるの、私はっ!』

気が動転し、何度も躓きかけながら玄関へと向かっていた。

やりかけの家事を慌てて片付けている間に遼平がやって来る。応対する時、とても彼の顔を見ることが出来なかった。
彼の美しい灰色の瞳に穢らわしい自分が映ってしまうのすら申し訳ない気分にさせられた。

家庭教師を息子の部屋まで案内してから、トイレに入る。
恐る恐るショーツを下ろしてクロッチの部分を確認した。

『やっぱり、汚れてるっ……』

そこには予想通り、染みがついていた。
今すぐこの下着を手洗いで完全に汚れを落としてしまいたかった。
無駄な、誰のためにするのかも分からない証拠隠滅だ。
しかしそんな時間の余裕はない。
下着を替えるだけで我慢するしかなかった。
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