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あなたが教えてくれたこと
第4章 4
久しぶりに早く帰宅した正嗣に、よからぬものを感じたのは妻の勘だった。
彼は鞄を紫遠に押しつけるように渡すと、息子を呼びつけた。
「これはどういうことだ?」
正嗣はポケットから智哉のポータブルゲーム機を取り出して床に放り投げた。
「あっ」
息子と母親は同時に声を上げる。
今日学校から帰った智哉がなくなったといって探し回っていたものだった。
「どうしてお父さんが」
「それはなんだと訊いているんだ。答えなさい」
正嗣は冷静な振りをしていたが、目は怒りで揺らいでいた。
「あなた、それは」
「お前には訊いていないっ!」
怒鳴ってはいないが、その声は苛立ちで尖っている。
夫の残虐性を知り尽くしている紫遠は、息子の身を案じて震えた。
「それは、僕のだ」
気の弱い智哉とは思えない、しっかりとした声に紫遠は驚く。
彼は鞄を紫遠に押しつけるように渡すと、息子を呼びつけた。
「これはどういうことだ?」
正嗣はポケットから智哉のポータブルゲーム機を取り出して床に放り投げた。
「あっ」
息子と母親は同時に声を上げる。
今日学校から帰った智哉がなくなったといって探し回っていたものだった。
「どうしてお父さんが」
「それはなんだと訊いているんだ。答えなさい」
正嗣は冷静な振りをしていたが、目は怒りで揺らいでいた。
「あなた、それは」
「お前には訊いていないっ!」
怒鳴ってはいないが、その声は苛立ちで尖っている。
夫の残虐性を知り尽くしている紫遠は、息子の身を案じて震えた。
「それは、僕のだ」
気の弱い智哉とは思えない、しっかりとした声に紫遠は驚く。