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あなたが教えてくれたこと
第4章 4
夫に語り合う気がないのは明白だった。それでも言うことで抑止力になる。
お互い立ち入りすぎないのが、家族として上手くやっていく秘訣だ。ここで折れる訳にはいかなかった。
「お前みたいな無学な女は黙って言うことを聞いておけばいいんだ!」
湯呑みを振りかぶられ、紫遠は反射的に目を閉じて縮こまった。
「やめてっ! やめてよ、お父さんッ!」
智哉が駆け寄り、紫遠に抱きついた。
それでようやく落ち着きを取り戻したのか、正嗣は手を下ろす。
「僕、もうゲームはしない。勉強も頑張るからっ……だからお母さんを苛めないで!」
「智哉……」
紫遠は慌てて息子を抱いて、守るように覆った。
正嗣は恨みがましい目で紫遠を睨んだあと、ダイニングを出て行った。
「お母さん、大丈夫?」
小さい瞳は涙で潤んでいた。
「ありがとうね、智哉」
幼い身体をきつく抱き締め、息子にバレないように涙を拭った。
怖かったことより、智哉が逞しくなったことが嬉しくて、流れた涙であった。
お互い立ち入りすぎないのが、家族として上手くやっていく秘訣だ。ここで折れる訳にはいかなかった。
「お前みたいな無学な女は黙って言うことを聞いておけばいいんだ!」
湯呑みを振りかぶられ、紫遠は反射的に目を閉じて縮こまった。
「やめてっ! やめてよ、お父さんッ!」
智哉が駆け寄り、紫遠に抱きついた。
それでようやく落ち着きを取り戻したのか、正嗣は手を下ろす。
「僕、もうゲームはしない。勉強も頑張るからっ……だからお母さんを苛めないで!」
「智哉……」
紫遠は慌てて息子を抱いて、守るように覆った。
正嗣は恨みがましい目で紫遠を睨んだあと、ダイニングを出て行った。
「お母さん、大丈夫?」
小さい瞳は涙で潤んでいた。
「ありがとうね、智哉」
幼い身体をきつく抱き締め、息子にバレないように涙を拭った。
怖かったことより、智哉が逞しくなったことが嬉しくて、流れた涙であった。