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あなたが教えてくれたこと
第5章 5
それに息子がいないと言うことは、その家庭教師である遼平も来ないということだ。
前向きで、自由で、信念のある彼と接することで紫遠も少しづつ勇気と自信が湧いている。
智哉が鬱ぎ込んだあの時、彼は息子に『智哉君がお母さんを守ってやるんだ』と伝えてくれた。
それをきっかけに息子も逞しくなってきている。
不思議な魅力のあるあの青年に、感謝せずにはいられなかった。

義父と二人きりだと食事や洗濯は量が少ない。家事が軽減されるのは助かるが、静かすぎる家の中は落ち着かなかった。

「紫遠。按摩を頼む」
「あ、はい。分かりました」

義父を床に寝せ、紫遠が跨がる。先日のこともあったので用心深く身体を離すことは忘れなかった。
彼の身体は筋肉質の上に凝っており、指で圧すのは相変わらず固すぎる。
それでも不平を言わずに解していった。
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