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あなたが教えてくれたこと
第5章 5
はだけかけたシャツを手で抑え、遼平との距離を取る。
掻き乱された心はまるで治まりそうになかった。

家庭を持つ女に気軽に「好きだ」と言って、そのくせ少し拒まれただけで尻込む意気地のなさが憎らしかった。

「大人はそんなに暇じゃないの。いい加減な気持ちでからかわないで」
「いい加減な気持ちなんかじゃないっ」

怒ったように激しく手を握りしめられる。

「離して」
「いや。離さない」

遼平の瞳には厳しい光が宿っていた。
もはや冗談で済ませられる時は過ぎている。

ぐいっと手首を勢いよく引かれ、小さな悲鳴を上げながら彼の胸に倒れ込んだ。

「赦されなくても、俺はあなたを奪いたい」

答えを言う時間は与えられなかった。
唇を塞がれながら、シャツもブラジャーも剥がされてしまう。

「あぁっ……」

それは後先を考えないと言うよりは、目を瞑って走り抜けるような強引さだった。
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