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第19章 旅行
その日は、雲1つない、快晴だった。
チヨは念入りに肌に日焼け止めクリームを塗りこむ。
それでも念のため、買ったばかりの麦わら帽子を被った。

今日の日を言い出したのは、タカダだった。
いつも、会えばすぐにいじめてばかりだったタカダは、前回のことで何か思ったのか、何もない、デートをしようと提案してきた。

「なにもって、何もですか?」

「うん。たまにはのんびり、恋人同士みたいにドライブしたり食事したり、デートしてみない?」

「ほんとに?」

「はは、ダメかな?それともエッチなことしたい?」

「いえ、たまには、そうですね。デートしたいです」


家に送ってもらう途中、タカダの言葉に少しときめいた。
体だけじゃなく、精神的にも満たしてもらうだけの関係。
恋愛感情があるわけではないことは自覚している。


でもやっぱり、ただの体の関係だけでないこんなことがあるから、やっぱりこの人で良かったと思わずにはいられない。


チヨは用意した旅行鞄を手に取る。
デートのはずが、いろいろ相談した結果、
季節外れの温泉旅館にお泊まり。

こういうのもいいかも。

チヨは下ろしたてのワンピース姿を鏡越しに見ながら微笑んだ。
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