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サイトの人
第25章 迷路
真っ黒な壁には大きくXの形を形どった真っ赤な張り付け器具。
4つの先端には皮でできた枷がぶら下がっていた。

その隣には、ショッキングピンクのチェア。
チェアと言っても、婦人科にあるようなそれは両手両足を開きながら拘束させるための拘束具がやはりついている。

ベッドにも、そして天井からも同じように手枷がぶら下がっていた。

さらに壁にはロープやムチ、オモチャたちがオブジェのように飾られている。

それだけではない。
ベッドの奥には、二畳ほどの檻がある。
銀色のパイプで覆われたそこだけは、なぜか真っ白な床に首輪や手錠が転がっていた。


「やだ、やだっ」

ここでなにをされるのか。
興奮よりも、恐ろしさで後ずさるチヨの体をタカダが受け止める。

「そんなにおびえなくてもいいから。ちょっと休憩しよう、ほら、座ってて」

ベッドの隅にチヨを座らせると、タカダはスマホを取り出す。

「サイトウさんに部屋番号教えるから、待っててね」

「ね、お願い、します。言うこと聞くから。連絡、しないで」

「んん?」

チヨの制止しようとする手を払いのけ、タカダは文字を打ち込み終えると、チヨに向き直った。

「少しうるさいよ。休ませてあげようと思ったのに。おとなしくできないなら、どうなるかわかってるよね?」

「え?」

言い終わらないうちにタカダはチヨの体を押し倒し、そのまま近くにあった手錠を強引にかける。
両手の自由を奪われても、泣くように抗うチヨに、タカダはため息をついた。

「どうせ始まったらまた喘ぐくせに。うるさい子だね」

タカダは壁から黒い皮に丸いボールがついた器具をとった。

「ほら、静かにしてなさい」


口枷をつけらるとようやく、チヨは抗議をやめた。

タカダは静かになったチヨの頭を撫でると、部屋の電話の受話器をとり、来客があります、とチヨに聞かせるようにフロントに報告した。
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