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霞草
第3章 新天地

野原の端までいくと、道は森に続いていて急に細くなった。

陽を塞ぎ、暗い森の中には、所々に雪が残っている。

しばらく続く森に不安になり、歩き出した時刻を確認していないことが、さらに不安を呼ぶ。

そろそろ、着いてもいいころだ、くねくねした道を進む。

トンネルの出口のように先に光が差している。
僕は嬉しくなり、走り出した。

森の外には別の野原が開け、だいぶ先にポツリと一軒家が見える。
そこが宿らしく見えず、
「もし、やっていなかったら…」
という一言を思い出した。

また、不安になり、恐る恐る近づいていく。

やっと目の前にきても、宿か普通の家か分からない感じだった。

民宿という感じだった。「こんにちは」大きな声を出した。

玄関でなく、庭の方から女性が出てきた。

僕はバスの運転手に聞いて訪れたこと、しばらく泊めて欲しいことを話した。

50代くらいだろうか、優しそうな女性は、訳も聞かずに、

「民宿といっても、こんな場所だし、
細々とやっているだけですから、大したサービスもできませんがどうぞ。」

と言ってくれた。


僕は二階の一番奥の部屋に案内される。
今、他に客はいないようだ。食事は部屋食とのことだった。
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