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霞草
第4章 出逢い
裏で洗濯物を干すおかみさんに会った。
「ほら、いっておいで。」
干されたシーツの影から女性が出てきた。
子供って、娘だったんだ。
途端に緊張した。
「よろしくお願いします。」
僕は照れ隠しに頭を下げて言った。
彼女は恥ずかしそうにして歩き出した。
しばらく無言のままで歩いていった。
少し歩くと、一面真っ白の小さな花、花畑だった。
「うわあ、凄い綺麗だ。」
「この花知ってる?」
僕は首を横にふる。
「霞草よ。花束に入っていることあると思うけど。」
「知らない。あの、君のことなんて呼べばいい?」
「そうね‥霞って呼んで」
僕は彼女に
「なんと呼べばいい?」
と尋ねたことを後々悔やむことになるとは、このときは思わなかった。
名前でなく呼び方を聞いてしまったことを…
彼女が腰を下ろしたので僕も近くに座り込んだ。
霞草(かすみそう)
白い小さな花が枝分かれして沢山ついている。
その小さな花は可憐で、よくみると一つ一つは薔薇のように沢山の細かい花びらで出来ている。
後で知ったのだが、花束に必ずと言っていいほど添えられる花だった。