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霞草
第4章 出逢い
小さくてフワフワした雰囲気が花束の隙間を埋めて、メインの花を引き立たせるのにちょうどよいのだろう。
カスミと呼んでと言った彼女は、その花のように可憐で、しかし物静かな印象にもかかわらず、しっかりとした美しさを持っていた。
何を話したらいいのか分からずに綺麗な花を見ていた。
「この花畑も君のうちのもの?」
「そうよ。」
街の数件の花屋に持っていくらしい。
彼女の白い肌、真っ直ぐで艶やかな黒髪、大きな輝く瞳に見入ってしまった。
生まれたての汚れなき心を持ちつづけて成長したのだろう。
清らかさを感じ、自分が汚れた人間に思えてきて何だかソワソワし始めた。
「男の人は花ばかり見ていても面白くないわよね。少し歩きましょうか。」
彼女はすっと立ち上がり歩き始めた。
彼女が荷物を持っているのに気づいて、自分が持つと申し出た。
何を話したらいいのかわからず相変わらず無口なまま、彼女の後ろを歩く。
バス停に続く森とは別の森に向かっている。
だいぶ長いこと森を歩く。
彼女は、誰かに話しかけるという感じでなく、独り言か案内人の決まったナレーションのように、目にする花や木の説明を時々する。
僕も「ふうん」とか「へぇー」など、気まずい沈黙を避けるだけの気のない返事をする。
カスミと呼んでと言った彼女は、その花のように可憐で、しかし物静かな印象にもかかわらず、しっかりとした美しさを持っていた。
何を話したらいいのか分からずに綺麗な花を見ていた。
「この花畑も君のうちのもの?」
「そうよ。」
街の数件の花屋に持っていくらしい。
彼女の白い肌、真っ直ぐで艶やかな黒髪、大きな輝く瞳に見入ってしまった。
生まれたての汚れなき心を持ちつづけて成長したのだろう。
清らかさを感じ、自分が汚れた人間に思えてきて何だかソワソワし始めた。
「男の人は花ばかり見ていても面白くないわよね。少し歩きましょうか。」
彼女はすっと立ち上がり歩き始めた。
彼女が荷物を持っているのに気づいて、自分が持つと申し出た。
何を話したらいいのかわからず相変わらず無口なまま、彼女の後ろを歩く。
バス停に続く森とは別の森に向かっている。
だいぶ長いこと森を歩く。
彼女は、誰かに話しかけるという感じでなく、独り言か案内人の決まったナレーションのように、目にする花や木の説明を時々する。
僕も「ふうん」とか「へぇー」など、気まずい沈黙を避けるだけの気のない返事をする。