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霞草
第4章 出逢い
「そんなことないよ、霞。霞はご両親に大事にされて純粋に育ったんだね。
別に可笑しくないよ、素敵なことだよ。」
僕は素直に話すことが出来た。
「お母さんから、しばらくここにいるって聞いたけど、どのくらいいるの。」
「分からない。
ひと月ぐらいかな。」
「そう。これから、春真っ盛りになると、花も景色も一番素敵な季節になるの。
出来るだけ長くいて欲しいな。」
僕も長く滞在したい。ただそれは霞のことをもっと知りたいと思ったからだ。
「時間はあると思う、でも、お金がね、手持ちが決まっているから…。」
僕は残念に思った。
「それなら、父に話すといいわ。
これから春休み、その先ゴールデンウイークまでお客様がくるの。
だから、手伝いをすればその分宿泊費少なくて済むわ。
もしそのつもりなら、私からも話すし。」
「お願いしていいかな。」
「うん、帰ったらすぐ話すね。
あと、嫌でなければ、うちの家族と一緒に食事しない?
一人の方がよければ無理にはすすめないけど」
僕は霞と温かい両親のことをもっと知りたいと思った。
うちは、親戚付き合い以外は閉鎖的で、よその家庭を知ることもなかったし、温かい家族に囲まれたいと思った。