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霞草
第4章 出逢い
こんな風に毎日家族で楽しく食事する。当たり前なのかもしれないが、、
食器の音しかしない食卓で、腫れ物に触るかのごとく成績の話をする母。
仕事が忙しくて、普段はいない父と兄。
家族全員が揃って食事することは少なく、貴重な時間なはずが、
父が、兄貴の仕事ぶりの確認をしてから、
「お前も後をついてきてるよな。」
と威圧する。
母が
「大丈夫よね。」
と言う。
僕は、
「ああ…」
と返事して早くその場を逃げ去る。
僕にとっては、食べた気もしないのが、家族揃って食事することだった。
目先の大学、就職という問題。
自分探しという名の旅の終わりは見えそうもなかったが。
こんな温かい家庭を持ちたい。
共に温かい家庭を作る大事な女性と過ごしたい。
漠然とした希望が生まれた。
楽しい団欒はほどなく終わり、僕は部屋に戻った。
明日も霞と出掛ける。それだけで心が弾む。
でも、最終的には、この家族に別れを告げて、自分の居場所に戻らなければならないと自分に言い聞かせた。