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霞草
第6章 二人の想い
お店の人から説明を受けて、いざ出発。
前のペダルの方が重いと言うことで、僕が前になる。
ただ、ハンドル操作も前なので、
「霞、道教えてよ。
じゃ、行くよ、せーのっ」
二人でこぐ。
車体が長い分重さがあるのだが、二人でこぐからどうだろうか、スピードは出ないが、楽かな。
「霞、感想は?」
「楽っ、面白い。楽しいね。」
「そうだね。面白いね。」
二人ともウキウキしていた。
僕は、二台で並んでこぐより、すぐ後ろから声がする、その近さがドキドキする。
言ってみて良かったと思った。
「次、右ね。」
霞が乗り出すようにして言うのを背中で感じる。
比較的緩やかな登り坂。
「ここ、私一人なら立ちこぎしてるかも。」
「霞、重い。ちゃんとこいでる?
見えないからって、自分だけ楽してない?」
「えっ、ちゃんとこいでるよ。そんなに重い?」
「嘘、冗談だよ。ちょっとからかった。」
「からかったりするんですね。意外です。」
ふざけたような霞の返事。