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霞草
第8章 別離

言葉にはしないが、この先カップを見る度にこの場所を、霞を思い出すのだろう。

思い出が形になっていくことは、嬉しくも哀しい。

そして、作品が配達されて、僕には果たしていない約束もなくなった。

僕は、別離の時を決めなければならない。


最初、家を出た時は1,2か月の予定だった。

ゴールデンウィークにはとうにいない予定、
霞と会いおじさんおばさんの優しさに触れ、
バイト代として宿泊代をまけてもらうことで6月まで居座ってしまった。


7月には予備校も夏期講習などがプログラムされている。6月中には家に戻らなければならないだろう。


帰る時を決めるきっかけが欲しかった。


その週末、僕の中では最後と決めた時間、2日間霞と近くを散歩することにした。

冬の終わり、雪氷の張る小川、山からの景色…
夏を前に、どれだけの景色の移り変わりを過ごしたか、
霞と一緒に歩き、目に焼き付けておこう。


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