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霞草
第8章 別離
週末のデート、お弁当を持ち一日出かけることに、霞は喜んでいた。
土曜日には、森の中を散策する。
小さな流れだった川は、音をたてて流れ、澄んだ水を山下へ運ぶ。
それでも、水温は冷たい。
二人で水を掛け合い、はしゃぐ。
霞も下流まで行ったことがないというので、何処まで歩いて行けるのか川岸を進む。
木々をくぐり、坂や崖を進めるところまで目指す。
息を切らせ、手を取り合い進む。
「戻れなくならないかしら。」
霞は心配そうに言う。
「川に沿って戻ればいいんだよ。ちゃんと帰れるよ。」
だいぶ進んだところで、ゴウゴウと水音がする。
「滝があるのかな。」
進んだ先にはやはり滝があった。
下りるのは厳しそうだ。
下から見上げたら、さぞ美しいだろう。
僕達は、滝の上から水が落ちるのを眺め、そこで昼食にする。
力強い水音を聞きながらの食事。
「きっと、お父さんも来たことないわ。」
霞は探検に満足したようだった。
「誰も知らない滝かもね。」
二人の秘密のようで僕もわくわくする。
目標を目指して下った時は良かったが、帰りの登り道はきつい。
弱音をはく霞を励まし、手をひき、最後は背中を押して歩く。