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霞草
第8章 別離
「畑はいいから、宿の方手伝ってくれ。梅雨入りする前にたっぷり布団干ししたいと言ってたから…」
おばさんに声をかけると
「そんなに急がないのに、どうしたんだろうね。
あの人、何か話してた?」
「あっ、僕、そろそろ帰らないと…と話したんです。おばさんにも大変お世話になりました。」
「あらやだ、何もしてないわよ。でも寂しくなるわね。ご両親も心配してるでしょうね。
あの人、寂しくなって追い出したのよ。
今ごろ畑に隠れて泣いているんじゃないの?」
「えっ、」
「たぶんね…」
「それと、霞には内緒にして欲しいんです。僕も帰りづらくて…」
「そうね。そう決めたのならわかったわ。」
僕はいつとは決められないままに、おじさん、おばさんへの挨拶を済ませてしまった。