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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第16章 平穏と秘密

こうして紀永さんと一緒に居るのに、なんでぁたしの心は……
とりあえず、恐る恐るスケッチブックに手を伸ばし鉛筆を持って……
真っ白なスケッチブックに、ぁたしの頭も真っ白‥風景1つすら浮かんで来ない。
「美紀??」
「ごめんなさい…
やっぱり書けないみたい」
「・・・・・」
そんな言葉を聞いた紀永さんは、ぁたしが座っているソファーの隣に座り……
「・・美紀…
最後に何を書いたか思い出してごらん?」
優しくひとこと……
「最後に…」
ぁたしは何を書いていたのだろう??
もう遠い記憶のような気がして、何を書いたかよく思い出せない。
「美紀は夏の風景が好きだったよね……」
「・・夏………」
朧気に覚えているのは…
白い雲と青い海…
夏の太陽……
太陽??
そう‥ぁたしは……
「・・向日葵・・」
「向日葵?」
「夏の花…
それを書こうと……」
そうだ、家にあるスケッチブックの最後のページは向日葵‥途中だったケド。
「じゃ向日葵にしよう…
太陽に向く向日葵の花」
「書ける‥かな?」
「美紀なら大丈夫…
私も向日葵を題材にしてみようかね」
「紀永さんも……」
隣でぁたしの肩を抱きながら、どう書きたいのか聞いてくる…
なんだか凄く懐かしい‥あの頃もこうして2人で座って話していた。
「夏の空に大輪の向日葵はどうだい?」
「うん……」
そう言われも…
ぁたしの手は動かない、イメージが湧かない、前は簡単に書けたのに、何故今は手が動かないの??
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