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OLオクサマのふぇろもん
第10章 Scene.10
 
「全くアイツは何をやってるんだ」

 朝のラッシュも過ぎた車内。

 座席に座って思わず呟く。

 幸いにもガラガラな車内で聞かれる事は無かった。

 それにしても、思い出しただけでイライラしてくる。

 深い眠りに入っていた深夜も三時頃。

 突然鳴り出した家のチャイム。

 寝ぼけ眼に、深夜の訪問に若干の苛立ちを覚えながら玄関の扉を開けた。

 そこには、二人の制服警官に挟まれて立った、家の息子が項垂れて立っていた。

 隣の家の風呂場を覗き見。

 覗きの現行犯。

 受験を控えた息子の馬鹿な行動に、眠気なんて一瞬で吹き飛んだ。

「思い出しても腹が立つ………」

 家を出るまで何を言っても俯いた儘の息子。

 きっと近所でも噂になるに違いない。

 近所には同僚も住んでいる。

 ヘタをしたら会社にまで広まるかもしれない。

 近所だけじゃなく、会社の立場までもが危うく感じる。

「…クソッ………ん?」

 苛立ちの中で、不意に甘ったるい匂いを感じた。
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