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第11章 Scene.11

　
「ちょ、ちょっと待って下さいっ」

　途中からだった動画。

　嫌がる場面など皆無だった。

「合意の元だったしてもだよ？」

「………」

　何も言い返せない。

　仕事中の社内で、ヤってしまった事は抗えない事実。

「それに彼女は誘った訳じゃないだろ？」

　その通りだった。

　突き出されていたお尻の煽情的な光景に、勝手に興奮してヤったのはこっち。

　強姦と言われても、仕方ないのかもしれない。

「ウチの社員でこんな事をする人間は…ねぇ………」

　頭がクラクラしてくる。

　動画がいつ撮られたかなんて気になれなかった。

　人事部役員の言葉の先が分かる。

「ついさっきも、一人不祥事起こしたばかりなのに…ったく………」

　革張りの椅子に背中を預けて、深く溜め息を吐き出した役員。

「…わ、分かり……ました………」

　何も言い返せなかった口から出たのは、この会社に居る事を諦めた言葉だった。