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第30章 気持ち

朝、目が覚める
あのまま、シャワーの後に寝てしまったみたい。。。
さあちゃんの声がする
ドアをトントン叩き、顔が入ってくる

起きた？
頭いたい？
昨日、熱があったよ。。。
さあちゃんが、ありちゃん先輩に電話しておいたから、休めるよ？

え？
さあちゃんが電話したの？

だって、電話ずっと鳴ってたよ？
まこちゃんにも、教えたよっ
ママ、呼んでくるっ

電話どこだろ。。。
まあ、いいや
今は、誰の声も聞きたくない。。。

ママが私の頭をさわり、体温計で熱をはかる

何か食べられる？

ピッ
電子音が鳴る

37.5度
微熱ね。。。
今日１日、ゆっくりしてるのよ？

うん。。。

食べられるなら、台所に作ってあるから、食べて？

うん。。。

ママ、今日休めなくて、午後からは、さあちゃんの授業参観なのよ。。。大丈夫？

大丈夫だよ。。。

ちゃんと、おとなしくしてるのよ？

うん。。。

そのまま、ママの手の体温が伝わり、安心して眠る。。。

私の髪を撫でながらさわる、優しい手

前にもあったなあ。。。
熱で、学校を休んだら、直樹が学校をさぼって、会いに来て、私が眠るまで、撫でてくれたっけ。。。
涙が流れていく
ドキドキしすぎて、眠れなかったなあ。。。
今、私を撫でてくれる優しい手は誰？

夢から覚めていく。。。

詩織。。。
泣いてる。。。
泣きながら寝てたよ？

誠。。。会社、どうしたの？

午後から休んだ
ママが詩織が心配だからって、電話くれて鍵を預かったんだよ。。。

そう。。。

泣いてる。。。

私の涙を舐める。。。

何かあった？

ないよ。。。
体が怠くて。。。休みボケかなあ？
ふふっ

熱は？
下がった？

私のおでこに、手をのせる。。。

下がったみたいだな。。。
体温計で計り、確認している

会社、行って？
まだ12時だから、午後からに間に合うよ？

体を、起こして座る

いいよ
詩織といるから。。。

私を優しく抱きしめる。。。
優しすぎて、心が痛い

何か食べられる？

いらない。。。

アイスなら、食べられる？

うん。。。

いちご、バニラ、オレンジ
やっぱりいちご？

いちご、いらない。。。
オレンジ食べたいよ

私の好きないちご。。。
もう、食べられない。。。
私の好きないちご、知っていたんだ。。。
知らないと思ってたのに。。。